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日常の風

加藤悦子(かとうえつこ)

評価した人の総数:1人 オススメ総数:(4コ)★★★★
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作品紹介

いつもとおんなじ、変わり映えしない日々……。そう思いがちだけれど、少しだけ進むのを休んでみると、毎日には必ず違う風が吹いているのがわかるはず。何の変哲もない日々を送れることの大事さに気付き、それが明日からの活力になることを願い、綴った詩集。追い風 向かい風 色んな風が吹くけれど、一歩一歩歩いている「足あと」は消えない。
  • ファイルサイズ:1.1 MB
  • ファイル形式:pdf
ジャンル:
詩集・俳句・短歌 > 詩集 > その他
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著者プロフィール

1973年生まれ。
山形県出身。
サービス・販売の仕事を通し接客を学ぶ。
現在は、事務職にチャレンジしている。
山形県在住。

※この情報は、初版刊行時のものです。

この作品に対する評価

評価した人の総数:1人 オススメ総数:4

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  • やさしさ、って何だっけ

    2014/06/13 投稿者:JapooJr オススメレベル:★★★★

    ◆「ありがとう」
    まずは冒頭のエッセイ。著者は「ありがとう」という何気ない一言で相手の心にポッと火を灯すことができるとの実感をもとに、家族や周りの人々との円満な暮らしの大切さを説く。さらには、そうした感謝の気持ちに表れた優しさがまた、生きるエネルギーと行動力に繋がることを示す。内田樹氏はマルセル・モースの『贈与論』に依拠して贈与=返礼を社会制度の起源とみなし、それを踏まえ、「ありがとう」が言えない(お返しすることをしない)現代社会の歪さを指摘しているが、「ありがとう」という言葉には心と体の栄養となる効能のみならず、すごいチカラがあると町田宗鳳氏も言うように、たしかに私たち自身が形づくる社会の基盤にとって必要不可欠の魔法の言葉といえる。

    さて、猫の親子を通して母と娘の愛情をうたう《親子》という詩には「ありがとう」というセリフがまんまでてきて微笑ましい。会話調の詩《言葉》も、それらが連発される。しかしながら、現実はそう簡単にはいかないのも事実。そんなもどかしさがよく伝わる《気付いた想い》のシンプルな詩的表現は妙を得ている。一方、幼少の頃の幸福な家族の記憶を詩にしたような「しろつめ草の香り」を唱えれば、あたたかい気持ちになるし、天気の挨拶で見ず知らずの人と心を通じ合わせる最後の《バス停》も印象に残る詩だ。

    ◆「頑張るサラリーマン」
    次のエッセイは、私もその一人である、悩み多きサラリーマン賛歌。気楽な稼業…と植木等に歌われたのも今は昔、現代の会社人間はなにかと大変だ。著者いわく、責任感や使命感を背負い、変えられない環境…上下関係もあり、様々なシガラミも…流されていくときも…。見失っていた自分を取り戻し、新しい明日を迎えるためのエネルギー源は「愛」である、と。家族や恋人、友人…なるほど、自分は一人ではないと思いつつ、それでも、その「愛」はどうすれば見つかり、どう育んでいけばいいのか、わからない。著者に反論するわけではないが、サラリーマンのシビアな現実はもっとせせこましい。

    詩のほうに目を転じれば、《確認》《渦巻き》《批判》《方法》にそうそうと大きく頷くとともに《ため息》《逃げない勇気》には逆に反省させられる気がし、《戦士》《行動力》《理想と現実》であらためてサラリーマンとしての自覚が悲哀を伴って頭をもたげる。会社人間がなけなしのエートスを維持するには、社会生活者としてのエクスキューズを必要とするのかもしれないが、そうしたところで日々の闘いが楽になるわけはなし。ただただ《基本》に忠実に誠意をもって前進していくしか術はないのかもしれない。最後の《仕事》には文字通り<仕事ってなんだろう>という素朴な思いを抱かされ、独り身につまされながらも、これらの詩をよんでなんだか元気がでてくる気がする。

    ◆「美しさの秘訣」
    エッセイ中の<「トキメキ」を感じることがなかったら、人はどんどん意固地になり、悲観的で楽しむことができなくなります>。その通りと思うとともに、「トキメキ」という感覚を何処かに置き忘れて久しい私は複雑な心境になる。<暮らし美人>は理想像として誰の心をも捉えて離さないだろうが、肉体の衰えと執拗な煩悩がそれを凌駕してしまうのも否定できない。<心に温かいものを感じ><いつまでも、美しく輝いていること>ができるよう「トキメキ」を忘れないで、という著者のメッセージを肝に銘じ、<オシャレをしてみたり><音楽や映画を観賞したり><恋をしてみたり><散歩をして、きれいな夕日に感動したり><あかちゃんの笑顔で癒されたり>したいもの。

    そんな願いをもって《日常》《人気者》《秘薬》…と詩を読み進めていく。ふむふむ。<トキメキはキラメクあなたの必需品>か、なるほど。その次の《敬意》はお母さんの驚くべきパワーへのリスペクトを綴る。トキメキがトキメキを生んでいくようだ。最後の2篇《感動》《演奏》。花見や音楽という<胸の鼓動鳴りやまぬ>刹那の楽しみも人生を飾る大事なトキメキのひと時だということをいまあらためて思い知らされる。老残をさらすほかないと独りごちる私のような中高年にぜひとも読んでもらいたい。

    ◆「神秘」
    一期一会という言葉もあるように、偶然にせよ必然にせよ<出会い>は<神秘>であり、<奇跡>的で<不思議>なものであるのは間違いない。そうすると、やはり<人と人との繋がりを大切にすることが、全てに繋がるということ>というフレーズは重く響く。著者が言う通り<思いやりの気持ちで人に接していると、人から助けられたり、仲間が増えたりします>が、<反対に嫌だなと思うと、嫌なことがたくさん降りかかってくる>のも本当で、人間嫌いで友人のいない己の行状を顧みると自嘲せずにいられない。全然関係ないが、急にピンク・フロイドのアルバム『神秘』が聴きたくなってきた。

    11の詩で括られた本篇。まずは《巡り合わせ》の<てくてく>という擬音の繰り返しが耳に心地いい。次の《ぬくもり》では、触れ合いが<愛おしい想い>へ、それから<愛情>という神秘へと移る様を描く。《信念》の<言い訳をしたり今やるべきことを疎かにはしない>はほとほと耳が痛い。《夫婦喧嘩》の<出会い結び繋いでいく縁>の一回性に再び想いを馳せ、<笑顔はステキだ>で始まる《ウイルス》の中の<「笑顔」という最強のウイルス>にちょっとドキッとする。その後の2篇《ひとひら》《郷愁》の詩的表現に感心し、《共に》の<ちっぽけな人間の存在>と、《午後の風》でのどかな風景に馴染むオス猫(という生物)の強さとマイペースぶりとを比較して想像してみる。《散歩》の中の<懐かしい想い><今の想い><これからの想い>を<重ねて想う>…と畳みかけるような言い回しに時間の「神秘」への感慨を抱く。最後の《色》では、<その時><その年><その時代>に<色んな色を混ぜ合わせて><色んな色を創り上げる>営為に人間らしさを見て<あなたの色は今、何色ですか>と問いかけてくる。

    …と、ここまで誠に得て勝手な感想?を長々と書き連ねてしまったが、そんな弱い人間にも優しい作品なので、ぜひ詩世界に浸ってほしい。

    ※3番目の章「希望」についてのコメントは字数制限により割愛させていただきました。

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