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紙の本をベースにPDF化した作品
時を超えて(日本文学館・刊)
大海原鯱子(おおうなばらしゃちこ)
作品紹介
(作品冒頭400字)
正倉院に収められている聖武天皇遺品の中の筝は四点ほど現存しているが、その中で一点だけが、ほかの絃楽器と一緒に倉の外へ出され、返納の際には別の筝に替えられていたという話がある。実はその筝は、時を経て名工による修理が施され、どこかに眠っているのだが、その存在は知られていない。
平安の時代、かの有名な光の君に嫁ぎ、世継ぎにも恵まれ、その生涯を幸せに暮らした明石の君の話があるが、その姫の遠縁にあたる子女に、香姫という天真爛漫な姫がいた。この時代の地方の権力者のお子たちは、乳母を中心に養育係が置かれ、熱心に教育された。香姫も、ゆくゆくは京の都に縁を持ってほしいと考えられていた。地方豪族の娘とて、明石の姫君のことも身近にあったので、将来どのような幸運が訪れるかわかったものではない、と周囲からも思われていた。
香姫をお育て申し上げることになった教育係のお巻という乳母は、いろいろなことに秀でていた。彼女……(つづく)
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