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1948年11月生まれ、福岡県出身 静岡県立富士高等学校(定)卒業 1979年、京都府立陶工高等技術専門校やきもの図案科卒業 染付けの仕事に従事 現在、ホームセンターで園芸管理のアルバイト中 趣味:書道、読書、手芸、英語※この情報は、初版刊行時のものです。
評価した人の総数:1人 オススメ総数:★4
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赤心が垣間見える、全30編の詩集。
2014/10/08 投稿者:JapooJr オススメレベル:★★★★
著者は、初めて詩を書いた中学二年以来、詩作と離れずに過ごされてきた方のようです。 恐らく「希望と失望と」を繰り返しながら、言葉を吐き出しつづけてきたのでしょうね。 やむにやまれず、業(ごう)とでも呼ぶべき「何ものか」にいつも背中を押されながら…。 たとえば、《言葉と涙》という詩の最後のほう。 辛い時やくやしい時は心をおさえるのに精いっぱいで 泣くことも忘れるほど胸の中に言葉があふれて 言葉と涙は同じくらい 切なさや憤りを表現する それはいつも個人の中で理解されるばかり ここには、詩人特有の感性がみてとれるだけでなく、 その創造力のありかがほんのりと開示されています。 「わけもなく哀しい日/心に抱いて語りかける/もう一人の自分のように」(《鳥を飼う》) 失意や煩悶すらも「言葉(詩)」の風船をふくらませて、そこに全部閉じ込めるのです。 「心の中に何かを燃やして/人から離れてゆくとき/人に近づいてゆくとき」(《沈黙》)も 言葉にならない言葉=「確信にも似た沈黙」がとめどなくこころに訪れてくるのですから。 すると、同名異詩《手紙を書く》で綴られる 「ふれれば飛び散るような/心をおさえて」 「出すあてのない手紙を書く」行為とは、 つまり詩作(創造)のことにほかなりません。 《バス・ストップ》でうたわれる「一台のバス」 もまた、「生まれたての言葉(詩)」でしょうか。 「赤心のうた」ばかりですが、その中でも母親への思慕をうたう 《母》はやはり格別で、逆に散文(手紙)風な味わいがあります。 《自由と孤独と》では、詩人(著者)の清々しい覚悟がみえます。 その他の詩も平明な言葉が静かに並んでいるようにみえますが、 切れば血の出るような「生き生きとした」詩的宇宙(cosmos)を 布置させていることにハタと気づいて、おののくことでしょう。 そして、ラストの《祈り》で、文字通り「祈る」ように「わたし」を哀願して閉幕します。 …が、「興趣が尽きない」鑑賞をお望みという方は、 一呼吸置いた後、冒頭の《失望》からもう1度よみはじめてみると、 また違った「言葉の風景」が目前に広がってみえてくるはずですよ。